八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.239


【掲載:2023/05/11(木曜日)】

やいま千思万想(第239回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

今考えるべきは「戦」ではなく、人としての「差別」意識ではないか

 私の仕事は音楽と人とを結ぶことです。
人と音楽が見える場所が私の立ち位置。
実際のコンサートでは演奏者と指揮者譜面台の前に立ち、音楽と人とを結び、繋げます。
奇々怪々の人間に比べ、楽譜は何と判りやすいのでしょう。仕事のはかどりは、ですから人間理解にかかっています。
まぁ、それが面白いのですが、その面白さを続けて行くことができなければ指揮者には向かないと言うことでしょう。

 人との向き合い方で重要なのは、区別はしても、差別があってはならないということでしょうか。
区別と差別を混同する人が多いのには困ります。中には確信的にやってしまう者もいますが、それがあるとステージでは先ず上手くはいかないでしょう。
以前、伝統的なオーケストラでは、男女、人種の違いでトラブルが起こっています。
近年やっとそういった取り沙汰が聞こえて来なくなりました。人々の意識が変わってきたのでしょう。
しかし、人間の差別問題は無くなることはないと思います。これまでの社会機構を保とうとすれば、です。
まったく新しい価値観が生まれれば解決に向かうことができると思うのですが、世界にあって我が国では大きく後れを取ってしまいました。
我が国も色々と対策を盛り込んだ目標を掲げてはいるのですが、どれも達成はされていません。
国会をみれば明らかでしょう。
敢えて書けば、甘い言葉の「絵に描いた餅」。これが世界から遅れている原因でしょう。
しかし、先進国では積極的に差別を無くす方策を進めています。
近年話題になっている「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」と「LGBT(エルジービーティー)」。
横文字、ちょっと頭に入りにくいですが、世界的にみて大切な課題ですから少しお付き合い下さい。

 SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。
2015年9月の国連サミットで採択され、そのターゲットを要約すれば、貧困や飢餓、健康や教育、さらには安全な水など開発途上国に対する支援です。
因みに日本の子どもの6人から7人に1人が貧困だとの報告があります。

 LGBTとは、レズビアン (女性同性愛者Lesbian)、ゲイ (男性同性愛者Gay)、バイセクシュアル (両性愛者Bisexual) の3つの性的指向と、
トランスジェンダー (身体と心の性が一致しない人、どちらの性別にも違和感がある人Transgender) またはトランスセクシャル (Transsexual) の性自認、
各単語の頭文字を取って組み合わせたセクシュアルマイノリティ(性的少数者)の総称。

2020年12月に世界経済フォーラムで発表されたジェンダー平等。
153カ国のうち何と日本は121位と、とても低い数字です。
この二つは密接に関連しています。これらに理解が深まれば、人々の「生きる豊かさ」に未来志向の希望が加わります。
残念ながら今回の「広島サミット」、軍事連合化との印象が強く残りました。残念です。





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