第一章「音楽がお好きですか?」

音楽監督・常任指揮者

当間修一 Toma Shuichi

音楽に魅せられての人生です。
好きを通り越して、音楽=人生となったちょっとしんどい生き様を見せている男が一人ここにいます。(笑)

クラシック音楽の衰退が叫ばれて久しいのですが、そんな男ですからあまり気にしないで音楽に専念してきました。
まぁそうは言っても、演奏会を開いての活動ですから聴衆の増減は気になるものですが・・・・。

「阪神・淡路大震災」をきっかけとして、関西(大阪近辺)でのクラシック音楽の聴衆が激減したことはよく知られています。
しかし、それ以前からこの国での「クラシック音楽」は衰退への道を歩み始めているのではないか、と私は思っていました。
「生活に根づいていない音楽は衰退するだけだ」なんて言ってたんですね。
どこか嘘っぽい、装飾としてのクラシック音楽。
どこか無理している音楽、切実生に欠ける音楽。
そんな思いがずっとしていました。

とは言うものの、物心つく頃から「ベートーヴェン」に興奮し、バッハに畏怖し、モーツァルトに歓喜してきた私です。
そんな私は例外なのだろうか?
また、私の「音楽」はホントウに<本物>なのだろうか?なんて自問自答することしりきです。

でもやっと到達しました。解ったんですね
私は音楽が好きなんです!
そして、音楽と共に歩むことによってのみ、私の人生に「希望」が見出せるのだ!ということを。

ベートーヴェンからは感情としての激しさと強さ。そしてその中にある豊かな叙情性。
バッハからは強固な音楽への信頼、統一性。
モーツァルトからは人の哀しみと純真無垢な喜びとの間(はざま)に揺れ動く繊細な心模様。
シュッツからは、母国語とは何か?そして信仰とは何か?という問いと答え。
私がヨーロッパ音楽に学んだ最も重要なこと、それは音楽の底にも流れる「科学性」ということでしょうか。

現在の私は、それらの経験に立っての我が国の文化への寄与です。
外国の文化を学ぶ。しかし結局それは自国の文化にどのように取り入れるか、ということでしかそれを活かすことができないのですね。

私は音楽を通して私を見つめ、他とコミュニケートしたいと考えているのだと思います。
音楽のジャンルにとらわれる必要はありません。<音>を紡ぐことに楽しみ、そのことで考え、他に伝え、共感したいのですね。

合唱はお好きですか?
合唱を聴くことがお好きですか、それとも参加する、歌うことがお好きですか?
「合唱」も音楽のジャンルの一つ。
それにとらわれることなく、「音楽」として捉えて<楽しみ>を創っていけばいいのですね。
とても、とても回りくどい書き方になってしまいました。
「合唱音楽」の真の楽しみ、喜びを探し求める。それが「名古屋ビクトリア」の目標です。
真の音楽愛好家を増やし、この国の文化を豊かにするのだとの確信。
それは、<好き>だということ。
そして<楽しい>ということ。
これだと思うのです。
楽しんで音楽したいと思っています。
楽しんで練習に取り組みたいと思っています。
「名古屋ビクトリア」のこれからに期待してください。

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