第二章 さぁ、真の歩みが始まります。

音楽監督・常任指揮者

当間修一 Toma Shuichi

第一章を書いてから随分と日が経ちました。
筆が進まなかったのは、第一回定期演奏会まではまだまだ準備期間だと思っていたからです。
創立記念コンサートだった第一回定演(2005年3月12日 しらかわホール)が私にとって充分に手応えのあるものとなった今、さぁ、これから真に歩みを始める時が来ました。

合唱団、可能性は感じさせたもののまだまだ磨かねばならない課題を多く残しています。
それらを解決し、まとめ、積み上げ、築き上げていくと同時に団としての組織も堅固なものにしていかなくてはなりません。
今、それが進行中です。

音(音楽)は、精神、心理といった分野に大きく係わります。
それは奏する側での重要な起因であり、また聴き手にとっても大いに影響を受ける事柄です。
ある人にとって心地よい声であっても、ある人にとっては不快なものとして聞こえることがあります。
また協和されたハーモニーにも人によって様々な感じ方、受け取り方があります。
これらは「精神」「心理」といったことと関連するでしょう。

音(音楽)はまた、純粋に自然界の物理的な現象という側面を持ちます。
音は空気の圧力変動の波です。
振動というこれらの現象は温度や湿度、その他様々な自然界の要素に影響を受けます。
感情だけの問題ではない、というところに実は「音(音楽)づくり」の難しさがあります。

人それぞれに性格や価値観や美意識が異なる中、どのような「音づくり」をするか。
単に「歌っている」だけでは音楽になりません。
ただ「合わせる」だけでは合唱になりません。
そこに「人の業」としての「叡知」が(自然とどう調和するかという意味も含めて)示されていなければならないと思うのですね。

私は思います。
声づくりは「人づくり」です。
ハーモニーづくりは「社会づくり」でしょうか。
演奏は「哲学」であり、それは知覚・感情・思考の伝達、つまりコミュニケーションです。
これらに留意しながらの「音(音楽)づくり」です。

「名古屋ビクトリア」の音(音楽)づくりは始まったばかりです。
一年間の準備期間を経て、そして第一回定期演奏会を節目として、「音(音楽)づくり」「団づくり」が本格的に始まりました。

人が集まる、それは<可能性へと広がる>集まりでありたいと願います。
生きていることの<喜びを確認しあう>集まりでありたいと願います。
音楽の楽しさ、素晴らしさを放ちたいですね。
人が集まる「場」、それは温かくエネルギッシュな「場」です。

「名古屋ビクトリア」、今年も充実した活動です。
人としての可能性を見つめながら各課題に取り組む。これ楽しいです!

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