第四章「第4回定期演奏」の感想です。

音楽監督・常任指揮者

当間修一 Toma Shuichi

「名古屋ビクトリア合唱団」第4回定期演奏会

ステージ第一番目は「ビクトリア・モテット集」
音色の統一、ピッチなどこれまでと比較して安定してきています。男声の響きがもう少し深くなればいいのですが、これは女声も含めての「響き作り」がこれからも継続事項ですから次回はもう少し期待していただけるのではないかと思っています。
とはいうものの、これまでの過程を顧みれば本当に成長著しい男声です。
心から拍手を送りたいのですが、もう一つの「心の鬼」がそうさせてくれません。
やはりもっと上を目指してもらわなければなりませんね。
より音楽を深く味わい、楽しむために。そしてそれを聴衆に伝えてもらうために。
大きな課題を担った充実のパートです。
ビクトリアのモテットは演奏していて楽しいです。全曲演奏を是非目指したいですね。
これからのメンバー一人一人の人間的成長と併せて、演奏においても心に響く歌をうたってくれるものと思います。

第二番目のステージは柴田南雄「追分節考」
一人一人が主体性を持って立ち、歌う。
この目的にもっとも相応しいとのことでこの曲を選びました。
男声たちの独唱、そしてアンサンブル力。女声は均一性の声の持続、そしてハーモニー感覚。
それらが会場全てをステージ化して音響作りをしていきます。尺八も加わりいわゆる「シアター・ピース」の世界が立ち上がります。
創立4年にしてこの曲が演奏できたことに手前味噌ではありますが感慨を覚えています。
「何故音楽するか?」「音楽とはなにか?」柴田作品の問いかけです。
聴いて下さったお客様にどう伝わりましたか?

第三番目のステージは松下 耕「信じる」
ポピュラーな、といっては語弊があるかもしれませんがこのような曲を歌うのは結構難しいですね。
聴いていただく方々(特に、歌われたことがある、また多くの演奏を聴いている方々)にとってはそれぞれのイメージが強く想い描かれているはず。それに対してなにがしかの新しいメッセージを加えて演奏しようとするわけです。
メンバーたちの「今日性」に期待しました。共感と様式への近似。本番の棒が自由な動きをしたにもかかわらず良く応えてくれました。
素敵なメンバーたちです。

第四番目のステージ、メインのステージは千原英喜「雨ニモマケズ」
まだ楽譜が出版されていない時期での演奏。(現08/06/20には出版されています)
彼らたちも気に入ってくれている「雨ニモマケズ」です。
千原英喜作品のなかでは音楽的にポピュラー的な要素もある内容になっていて、宮澤賢治の詩による「連作」の一つです。
次々と賢治の詩による曲が千原英喜の内から生み出されています。これはその中のでも特に有名な、あるいは待望されていた詩をテキストとして組曲となった大曲です。
名曲が生まれました!
それを「名古屋ビクトリア合唱団」がいち早く気に入ってくれて演奏したいと表明してくれたのでした。
大任を果たした演奏だったと思います。
この曲の良さを十分に伝えてくれたのではないでしょうか。これからも全国各地の合唱団で歌って欲しい曲ですね。

アンコール・ステージ
1)(男声)木下牧子「Enfance finie」
2)(女声)木下牧子「いま!」
3)(女声)千原英喜「はっか草」
4)(混声)千原英喜「雨ニモマケズ」
いつものように男声、女声、そして混声の響きを聴いていただこうとの選曲です。
心配だったのは「Enfance finie」、でも最後のガンバリがすごかった!
確実の成長を感じさせた男性たち、私から拍手です。
「いま!」~合唱と吹奏楽のための~。届いた譜面はコピー防止用の楽譜、少しこれは見にくいですね。演奏とは関係ないのですが・・・いろいろと防止策があるのですね、驚きました。
女声は充実です。これからの一層の発展が楽しみ。

前回書いたものより随分と褒めています。(笑)
確かに振っているときも手応え、実感がありました。
これを書くにあたりその時の演奏を聴きながら書いています。
やはり一段のこれまでと違う演奏になっていますね。
やっと合唱団として「名古屋ビクトリア合唱団」だと言えほどになりました。
合唱団というものは浮き沈みもあります。
しかし、確かな歩みを追求していくつもりです。
どうかこれからもご声援いただけますよう、よろしくお願いします。

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