八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.179


【掲載:2021/08/22(日)】

音楽旅歩き 第179回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

事の解決、それは「空気」でなく「知性」を持って

 大阪では今日も雨が降っています。
一週間以上降り続けています。
8月11日から私が指揮する幾つかの合唱団〔Tomas-chor〕が一堂に会しての、恒例の「夏合宿」(伊豆湯ヶ島温泉「白雲楼」)が行われました。4泊5日の日程です。
残念ながら、今爆発的に感染が拡大している東京。そこで活動する「東京コレギウム・ムジクム合唱団」の中に陽性者が出てしまいました。
私がなかなか東京に出かけられない間、団員たちの自主的な練習の場における感染と想像しました。
現在は症状も良くなり、順調に回復しているのですが、まさかの出来事でした。
他の団(大阪・京都・名古屋)では感染者は出ていないのですが、何やらじわじわとウイルスが近づいているようで不気味です。
もう毎日が感染防止の事で頭がヒートアップ。ストレスも一段と溜まってきているのを感じます。

 それにしても国の対策の不安なこと!ニュースを見る度に、政府のコメントを聴く度に溜め息が出ます。
よく言われるアクセルとブレーキを一緒に踏む、という内容ですね。
〔オリンピック〕と〔自粛〕はどう考えても矛盾していますし、政府からの要望や対策も言葉が空回りしていて信頼感に程遠い。
この国の骨幹の脆弱(ぜいじゃく)をこれまで以上に私は感じてしまいます。

 合宿場は山の中。どう考えても当地での感染リスクは低い。
リスクの高さは、我々使用する者たちがウイルスを合宿場に持ち込んでしまうかどうかです。
集まって来たメンバーの意識は高く、またお宿の感染対策、気配りが良く、互いの信頼によって無事終わることができたと思っています。

 山から下りてくれば〔人流〕が怖い。
ニュースが伝える項目も酷さが増していて、マスク着用と人と人との距離を保つことにも緊迫感が漲(みなぎ)ります。
もう一つ、ウイルス感染防止対策とともに今回の全日程にわたって降り続けた雨、何度も襲ってくる豪雨(その風の強さ、雨量)。
慎重さはピークに達しました。不気味、恐れを久しく、痛く感じる日々でした。

 この異常な気象は「温暖化」に因るものだとの報告を国連の中の世界的な専門機関が出しました。
これまでは曖昧な表現であったものが、温暖化が異常気象に関与していると断じたことの意味は大きいと思います。
我々人類が抱える大きな問題がまた一つ浮き彫りになったということですね。
人類の歴史上とんでもない事が今起こっています。真っ只中に私たちは立っています。
今こそ人類の「知性」が求められ、それらの知見を結集すべき時に来ています。
ウイルスと闘うには「科学」ですね。それ以外有りません。

 世に言う「空気感」なるものを刷新したいですね。
この国では人を動かすのは科学的根拠でなく「空気」のような気がします。
議論を重ねても最後には「空気」で決まる。「空気」を読むことに長(た)けたものが力を得る。
それは根本的な解決では無く、一時の間に合わせの「姑息」なのですが。
やはり『コロナ禍』を生き抜くためには「知性」ですね。





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