八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.181


【掲載:2021/10/10(日)】

音楽旅歩き 第181回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

「コロナ禍」!「緊急事態宣言」解除の中、京都でコンサートを開催

 この原稿を書いている30日、明日から全国の「緊急事態宣言」が解除されるそうです。
しかし、油断はできません。一層のウイルス対策を続けながら生活することが望まれます。
宣言が明けて直ぐ京都で恒例のコンサートを開きます。これは以前より予定されていたものですが、タイミングが見事に合いました。
そのプログラムに寄せた文を転載します。音楽に勇気を貰います。生きるエネルギーも頂きます。
私はやはり改めて「音楽人間」だと思わされます。

 『私の「生きる」は音楽の中にありました。
生きる実感、絶望の中にも浮かび上がるエネルギー、落ち込みの中に微かに見える自負、未来への希望、歴史を担う者としての責任、それらは演奏する私の「音楽の中」にありました。
「大阪コレギウム・ムジクム」を立ち上げ、仲間と共に定期の演奏会を開催する。
集まる理由の核心、それは「音楽」でした。音楽の〈充実感〉を求める仲間が集いました。
そうでなければ「マンスリー・コンサート」(9月で457回目を迎えています)は続けてこれなかったと思います。
今回の「大阪H.シュッツ室内合唱団」京都公演〔[邦人合唱曲シリーズ]Vol.26〕は幸いにも「緊急事態宣言」が解かれたタイミングで開くことができました。
しかし、ウイルス感染防止はこれまで以上に慎重に臨みたいと思っています。
ホールによる感染予防策に即し、併せて独自の「OCM」の指針に従ってより安心して楽しんで頂けるコンサートを目指します。
以下に作品の特徴と演奏の意図を記します。

■千原英喜;混声合唱とピアノのための「そのかみのかぜ」。谷川 俊太郎の詩から五篇選び作曲。
自然の中に生きる人間、人間を包み込む自然の温もり、人の哀(愛)しみに寄りそう自然。温かさと愛おしさが全編を覆います。

■三善 晃:女声合唱「街路灯」。三善作品は難しい。
曲が持つ氏の様式、そしてその技巧的難しさに加え、詩(北岡淳子)に込められた〈優しい想い〉〈静かな内省〉、その細やかさ、抒情の表現に苦慮します。
しかし氏が放つ色彩感、音楽の嫋(たお)やかさに何と魅了されることか。

■寺嶋陸也:混声合唱のための「予兆」。今回、寺嶋陸也氏自身より手書きの楽譜をお送り頂いて(未出版)の演奏。関西初演です。
戦後まもなく、1951年に書かれた木島始の詩「予兆」(1970年に改作)に氏が作曲。
人類初の「原子爆弾」投下。その悲惨な光景を二度と繰り返してはならないとの思い、それが強く、激しく、痛々しく迫ってきます。
今年は「原爆」が投下され、終戦(敗戦)を迎えてから76年。「原爆」の生々しい光景、戦慄は人々の脳裏に深く刻まれ、癒えることなく重苦しくのし掛かっています。
曲の最後に歌われる「水爆の恐れ とりのぞけ」は世界の全ての人々に向かって発せられる言葉!
音楽がその言葉の思いをどのように伝え得るか。
寺嶋陸也氏の音世界、どのように表現出来るか、渾身の棒を振りたいと思っています。』





戻る戻る ホームホーム 次へ次へ