八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.182


【掲載:2021/11/07(日)】

音楽旅歩き 第182回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

「経験」した上での思考が大きく結果を左右させる?

 「経験」した上での思考が大きく結果を左右させるのではないか?そんな気がしています。
これは「音楽修行」で学んだことです。
いくら楽譜を読む勉強をしても、人より多く技術を学び練習したとしても、本番である「コンサート」で発揮できなければ意味がありません。
本番で表現する実力に結びつかない勉強や練習は役に立っていないということです。長い演奏経験がそう私に思わせます。
「経験に学ばない」との結果で人生を歩むことは簡単です。
私は「経験によって大いに学ばせて頂いた」と思っているのですが、周りを見渡しても日常的にそうでない人は多いように思われます。

 今回の選挙を通じてもまた同じように感じた私です。前政権がこれからも引き継がれて続きます。
数々の議員の不祥事、情報を隠し、公開しない公文書、納得しがたい(常軌を逸した)公金の流れ。
その他の有耶無耶(うやむや)にされてしまっていた問題も引き継がれて有耶無耶に。
私には考えられないことなのですが、今回の選挙の結果は〈それも良し〉とすることを意味するのでしょうか。

 多くの意見がSNS上で流れています。「当然派」「疑問視派」、論客が次から次へと投稿しています。
それらを眺めるのを楽しみにしている私です。(全部ではないでしょう。読むには時間が足りません)
7、8年前から、政治の有り様、その表れように身体を壊した私です。
その後毎日が精神的に不安定になりました。日々、見るもの聴くものに不安を覚え、出かければ体がふらつく。
そんなことが続きました。(でももし、仮にも健康的であったと言えるならば、私にはそれらを払拭できる「音楽」があったからです)

 しかし、今回の選挙ではその徴候は無いのですね。
あのフラツキ始めた頃のようには。どうしたわけか動揺していないのです。それは既に今回の「結果を予想していた」からでしょう。見事に当たりました。
選挙結果を見れば、多くの人々、普通に生活している人々は
「変化を求めないことを示した」「政治に普段から関心が希薄」「物事を多角的に(世界的視野で)とらえて全体を見渡すことが不得手(不得意)」のように私には見えます。
(投票率は低水準の55.93%〔戦後3番目に低い数字です〕)

 もうこの段階では飛躍的に「何かが変わる」ということは無いです。
しかし、だからこそ私は一層この日本の行く末を考え続け、実行し、一歩でも世界中から羨まれ、尊敬される国へと歩みたい!と思いました。その意は強いです!
戦争の体験者は少なくなりました(語り部が減りました)。
災害を受けた方々の姿は年々忘れられていくようです。
貧困者も増えているのですが実態はまだまだ一般的に知られていません。
ですから体験を通しての「真の実態を知る」ことから私たちは離れてしまっているのかも。
経験を通しての話がもっと聞きたかった!これからも聞きたい!
そしてそれらの肉声の体験談や記述が尊ばれますように。
「体験」したことが良い「結果」となりますように!





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