八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.200


【掲載:2022/10/16(日)】

音楽旅歩き 第200回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

全ての活動が以前のように日常的に行われますように、と渾身の棒を!

   先日、10月2日(日)京都公演大阪H.シュッツ室内合唱団京都公演[邦人合唱曲シリーズ Vol.27]を終えました。
全国各地から聴きに来られるシリーズです。当日演奏する作曲家の方々も揃って来場。
音楽評論家も来て、会場は張り詰めた空気が漂っています。
演奏会のメッセージは、ゆったりと詩に寄り添い、穏やかにメルヘンチックな作品を味わってもらおうというもの。
その中で一曲は最高の技巧を必要とする難曲中の難曲を選びましたから、プログラムとすればバランスの取れたものになったと自負します。
この公演で全員〔マスク無しでの演奏〕としました。
心配された聴衆の反応も良く、後で「良く英断した」との意見が多かったのには胸を撫で下ろしました。
その公演のプログラムに書いた「演奏にあたって」を編集して転載します。世に送るメッセージを知って頂けるものと思います。

 『全ての活動が以前のように日常的に行われますように、と願いつつ「コロナ禍」を突っ走ってきました。
幸いにして我が団の定期演奏会や「マンスリー・コンサート」も休止することなく続けられてこられたのは一つの奇蹟ではないかと思うほど幸運でした。
この二年数ヶ月、外に出ることも叶わない自粛という気の重い中、確かに聴衆が少なくなったり、音楽界の様相も変化がありました。
音楽家が演奏できない苦痛だけでなく、生活も減収によって死活問題になったという意見も沢山聞いてきました。
しかし、結果をみれば音楽家は逞しいです。
それも「音楽」そのものの力強さと言いましょうか、その魅力は決して薄れること無く、いや、そういった困難な時にこそ「生きる糧」となることを証明したと思います。
私たちの「マンスリー・コンサート」も先月で469回を迎えています。三年後には創立50周年となるようです。
年間の中心たる定期演奏会は、大阪定期公演「現代の音楽 〜 Music of Our Time 〜」(Symphonia Collegium OSAKAと共に)、
京都公演[邦人合唱曲シリーズ](大阪H.シュッツ室内合唱団)、
12月に行われる大阪定期公演「クリスマス・コンサート〜希望の祈りはとこしえに〜」(「SCO」と合唱団)の3公演、
それに前述した毎月開催される「マンスリー・コンサート」が加わります。
更に、不定期に「特別公演」や「東京公演」などもあって日本でも有数の忙しさの演奏団体となりました。
今回演奏する曲は、後藤丹(まこと)氏の「木にたずねよ」(詩:和合亮一)、
難曲の西村 朗氏の女声合唱とピアノのための「アノクダッチ幻想曲」(詩:宮沢賢治)、
そして千原英喜氏の「南の絵本」(詩:岸田衿子)。
音楽が持つ「命の根源たるエネルギー」「人間の命の豊かさ、温かさ」を共に体現して頂ければとの願いで選びました。
我が国でそれぞれの分野で活発な活動が日常的に行われますように!
願いを込めて渾身の棒で振りたいと思います。』

・・・・・・高評の印象深いコンサートになったようです。





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