八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.201


【掲載:2022/10/16(日)】

音楽旅歩き 第201回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

社会が、生活が豊かになっていく それは多様化の産業起業です

   人が集まって集団となり、そこで生活が営まれる。
今流行のコミュニティ(一定の地域に居住し、所属意識を持つ人々の集団。共同体)です。それが今回のテーマです。
集団(地域社会)が「村」と呼ばれるならば、その特色が都会と比べられ、都会で無くしたものを村(田舎)に求める人が観光地として訪れます。
迎える村はそのような人々が落としていくお金によって豊かになるとはいえ、若い人たちは都会に憧れ、そして就職先を求めて村を出て行く。
過疎化が進みます。お年寄りしか居なくなってひっそりと静まり返った村。
農業は後を継ぐ人間が居なくなり、高齢化や若い人の労働力不足も加わって田畑が放置されていく。
農作物や特産物、無形文化も細っていく。人の動きに頼っている村の経済基盤は一時期は確かに豊かになる。
しかし、何らか事情で人が来なくなれば一気に衰退する。怖いものです。「コロナ禍」がそうでした。

 しかし、そういったことがもしも起こったとしても、観光産業の「人流」による収入だけでなく、
農作物や地元の資源を生かした創作品、加工品らが他に代えられない商品となって求められ、継続できれば経済は安定する。
経済力の増強をと願うならば、観光による「人流」とそこから出て来る「マネー」だけでなく、
多様に産業(農業、牧畜業、林業、水産業、鉱業、工業、商業)を促進することです。

 「村」としての問題、それは経済だけではありません。
「人間」そのものの資質の魅力も細くなっていく心配があります。人口が少なくなれば人々の関係は「密」になっていく。
「密」による相互援助が良い形で行われるということもあるでしょう。
しかし、人付き合いの「しがらみ」という少し悪い形に変わってしまう関わり方も起こりがちです。
それを象徴したことが国会で起こっています。カルト教団と大臣や国会議員、地方議員たちとの関係です。 今我が国はとんでもない事になっています。いや、似たような混乱が世界で起こっています。

 世界は出口が見えない状態。これほど不安で未来を予想しにくい状態がこれまでにあったでしょうか。
いえ、有ったでしょうが、我が国でこれほど強く身に迫って来た事は希有(けう)です。
少しの助成は国から行われようとしてしています。が、根本的な経済危機(労働者にとって)が解消されるわけではなさそうです。
既にこの国は社会構造として大きく変化することを拒んでいます。
私の周りでは、「この国で一番住みやすい所は何処だろう?」や「子育てがし易い所は何処だろう?」との会話をします。
政治の在り方がこの問いによく現れていると思うからですね。
〈千葉県流山(ながれやま)市〉がよく話題に上ります。最近頓(とみ)に注目を浴びています。
私もこの地でコンサートをしたものですから、その印象だけですけれど納得できます。
関西では一時大きな話題となった明石市がありますが、最近は人気者であった市長の退任劇で先は見えません。
国全体の多様化が大切。推進できますように。





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